島根径写真展「20180831-0901_Taipei」開催中です!
2月10日(日)までです。是非ご覧ください!
島根径「20180831-0901_Taipei」 |
台湾2日目の朝は早く、もう今日の夜にはこの地を離れなければならない。という意識から、まずホテルのチェックアウト前に1つの朝市の撮影に行く事にしました。
フィルム60本と最低限の機材、バックパックの重みは、一泊2日とはいえ6㎏を超え、これをしょいながらと、カメラとフィルムだけでいける撮影とでは明らかに 動作性に違いが出るのと疲労度が違う為、このチェックアウト前の数時間もいつもの休みのようにグータラしてはいられない貴重な時間でした。
前日夜にまずここに行こう!と決めていたのが、東門朝市でした。
ここは築地市場のように、場外と場内があり、金山南路を挟んで外は露店市、中はアーケードという具合で、イメージとしてはかなりの人でごった返しているのを期待していたのですが、気負い過ぎて早起きし過ぎたせいか、着いてすぐはまだほとんどの店が開店準備中でした。
人もまだまばらで、ぽつぽついる程度。
ただ段々と差し込んでくる日差しや、活気づいてくるその様にシャッターを切る回数はどんどん増えて行きました。
東門朝市の撮影後チェックアウトを済ませ、前日に行くのが遅すぎてみる事が出来なかった龍山寺に再び向かう事にしました。
中に入って行くと、建物自体は正直日本の寺院の方が美しく感じたのですが、人々が何やら木で出来た積み木のような物を投げたり、拾ったり、何やら日本では見られないお祈りの仕方をしていました。
帰って来てから知りましたが、実はこの場所には日本語でも説明して下さるガイドの方が在駐されているらしく、お願いすればお祈りの仕方を教えてくれたそうです。
しかし、そんな事とは知らない自分はこのちょっと不思議なお祈りの仕方に圧倒されつつ、写真だけをとりその場をはなれました。
その後、昨日きた時とは反対側のエリアを散策し、西水三市場、東水三市場を撮影しに行きました。
しかしながら、段々とおそってくる連日の疲労もあり、思うように撮影もはかどらなくなってきました。
そこで気分転換にと、台北からほど近い仇ふんを目指す事にしました。だいだい片道2時間かからない位の道のりで、電車とバスを乗り継いで行ける事がわかり、移動する事にしました。
ガイドブックを頼りに、後はカタコトの英語と、単語だけの地名を繰り返し、どうにか仇ふんまでたどり着く事が出来ました。
その道中、鉄道を降りてバスに乗ろうと行き先を見るとどこか見なれた文字が。基隆?
どっかで聞いた事、見たことがあるような。。
山内さんが撮影に行かれていたのはこの先の街なのかと体感する事が出来ました。
仇ふんへの道のりは基本的には舗装された山道なのですが、バスがとにかく日本では考えられないくらい運転が荒く、揺れながら上がって行く感じでした。
しかし、登って行く車内から時折見える海に心を奪われ、必死に体を固定させ、人をかき分け、何度もシャッターを切りました。
仇ふんに着いてみると、そこは眺望のよい斜面に、傾斜を利用していくつかの集落が建ち並ぶ観光地化された土地でした。
イメージにあるのは、あの千と千尋の神隠しのモデルになったといわれる提灯のぶら下がった温泉街なのですが、昼まで提灯も灯っておらず、ただ、ただ、竹下通りとアメ横を合体させたような暗く長いアーケードが続いて行くだけでした。
そして、アーケードを抜けようやく視界が開けて、さあようやくあのイメージの。と辺りをみると、ただの道になっていました。
ガイドブックや、観光客の撮っているいわゆる仇ふんは、数十メートルの階段で、しかも夕方~夜という事がわかり拍子抜けしましたが、ただのフラットな街として捉えた時の仇ふんは中々とらえがいのある街でした。
観光で行く方にはあまりオススメはしませんが。。撮影をするには、外国人や、台湾人の観光客でごった返し、狭い道に人がひしめき合い、色々な思いや表情が交錯し、スナッパーとしてはこのうえない環境でした。
しかし、良くも悪くも天気が良く、撮影するにはもってこいなのですが、体力的には汗がダラダラと止まらない。という具合でものの1、2時間で気力、体力が失われて行きました。。
仕方なく台北中心地へ戻ろうと来た順路を引き返していると、疲れもあったのか、座って間もなくウトウトと眠りに着いていました。
台北駅に着き、地下街を通り中山駅に向かおうとしばらく歩き、外に出て見るとまたもちょうどスコールが止んだ所でした。
こうしてどうにか天気にだけは恵まれた今回の撮影旅は、感謝をしつつ最後の夜の撮影に向かう事になりました。
飛行機は深夜0:00頃の便だったのである程度までは粘れると思い、中山の都会の夜と、近くの寧夏路夜市を撮影しに行く事にしました。
夜市の撮影に向かう途中、道に迷いガイドブックを回転させながら地図を見ていると、「日本の方ですか?」と声をかけられました。
「さっき向こうで撮影されてましたよね?すれ違ったんですよ。」
すっかり気付かなかったのだが、この話かけてくれた方は仕事で半年前から台湾に住んでいる日本人の方で、今日はお友達が日本から来たから案内してあげてる最中だったとの事。
そんな中一心不乱に、写真をとりバックパックをしょいながらガイドブックを回転させている、自分をふびんに思い声をかけてくれたようだった。
そんな親切な方の助けもあり、ようやく辿り着いた夜市だったが、やはり2日目の夜は疲労もピークに達し、気力も失われてきて、思うようには撮れませんでした。
こうして最後は悔しい尻つぼみ状態で、1日目のフィルムにいい写真がある事を祈りつつ台北を後にし、帰国の途につきました。
帰って来て振り返ってみると、これだけ近くの国であり、似ているし、近しい面もあるのですが、やはり違いを感じました。
食文化や、服装、感覚はおそらく上海や、バンコクに比べると非常に日本に近く、過ごしやすい環境ではありました。
ただ、やはりどこか日本ではもう無くなりつつある街を撮っていて感じる街の匂いをまだ台北の街は残しているように感じました。
都市である前に人を感じる具合でしょうか。
やはり自分はこうした特別ではなく、ただただ当たり前の日常の中に垣間見る街の、人の、生きている匂いに惹かれているのだと改めて感じる今回の旅となりました。
島根径