2014年5月14日水曜日

「はると先生の夢色TUTAYA日記」3

(c)キングレコード
5月10日

『裸のランチ』1991年

監督/デビット・グローネンバーグ
原作/ウィリアム・バロウズ
出演/ピーター・ウェラー、ジュディ・デイヴィス、イアン・ホルム、ジュリアン・サンズ、ロイ・シャイダー


何故、このDVDを借りたのかは忘れてしまいましたが、「たまには洋画でも」という気持と、半年くらい前にブックオフでバロウズの文庫本を買おうとして、やっぱり面倒くさそうだから読まなかった事もあり、映画のタイトルくらいは知っていたので、つい借りてしまった作品であります。

旧作なので(私は現在、経済的に極度の貧困状態にあり「新作は贅沢、贅沢は敵」といった偏った価値観の基にレンタル商品を選んでいるのですが)、2泊で百円ちょいと言う値段は魅力的ではありますが、映画の内容が全く訳が分からず、それだけなら実害はないのだが、感想文を書かなければならなかったため、結局二泊三日を三回繰り返し借りてしまい(延滞はせず、そのつど期限内に返却して一日三百円の延滞料金を免れるところが、自分事ながらなかなかニクい動きなのだが)計6回も観てしまったのでした。


内容は、

『1953年ピーターウェラー演じるジャンキーと言うよりも神経症のセールスマンみたいな元作家の害虫駆除員ビルリーが作家志望の仲間達と物作りの苦悩を語って家に帰ったら妻ジョーン(ジュディ・デイヴィス)が駆除の薬でジャンキーになっている薬がなくなっていたのは妻が駆除剤を麻薬として使用していたからだと同僚に話していたら張り込んでいた刑事に逮捕される取調室では巨大なゴキブリが出て来て妻が謎の組織インターゾーンの回し者だから殺せと命令される靴でゴキブリをたたき潰して逃げて家に帰ったが女房はラリっていてどうしょうもなく電車の中で同僚に相談したらベンウェイ医師(ロイ・シャイダー)に相談しろと助言されるベンウェイに会ってどうしたら薬をやめられるのか相談するとムカデを粉末にした薬をすすめられる家に帰ると妻が他の男とまぐわっていてその横で作家仲間が詩を朗読している酒場でハンス(ロバート・A・シルヴァーマン)という男に話しかけられマグワンプという魚みたいな化け物を紹介されてインターゾーンの報告員になれと命令されてゾーン行きの切符をもらい質屋で拳銃とタマをタイプライターと交換する作家仲間の男マーティン(マイケルゼルニカー)がリーが妻殺しで追われている事を伝えるリーがタイプを打っているとハンスがムカデの粉について話してくるムカデの肉を加工している場所で男がベンウェイの名前をほのめかすリーは粉をなめるリーが部屋で酩酊しているとタイプがゴキブリに変わり背中にあいた穴から話しリーに「ゲイになれ」と命令する中東のような街(インターゾーン)で妻とウリ二つで名前も同じ女ジョーンフロスト(ジュディ・デイヴィス)と旦那らしき年配の男トム(イアン・ホルム)がいるハンスがトムは作家でゲイで妻も作家で旦那が若い男と遊んでいる事を知っているが何とも思っていない事を話すハンスに若いゲイの男キキ(ジョセフ・スコーシアニー)を紹介されてパーティーに誘われてトムと話しをするとトムはリーの女房殺しは自分が家政婦ファデラ(モニーク・メルキューレ)に遣らせたのだと告げる砂漠のような砂山でリーがのたうっているとこれまたゲイのような男クローケ(ジュリアン・サンズ)が話しかけてくるクローケとの朝食でリーは自分がゲイである事やそのルーツを告白しその話しを聞いたクローケはいやらしくリーを飲みに誘うがリーは断って席を立つトムとクローケは知り合いらしくトムはリーにクローケがリーを気に入っている事やハンスが麻薬を密造して強制送還になった事を話しリーに新しいタイプライターを勧めるリーはタイプでマーティン達に「やめたいけど禁断症状が怖い」という内容の文章を書くがムカデの粉が入った瓶をいじりながら咳き込んでいるリーが一人ベットで震えていると奥の部屋から悲鳴が聞こえ行ってみるとゴキブリ型のリーのタイプがトムのタイプ(カナブンみたいな)を喰い殺しているゴキブリタイプはリーに「敵を侵入させるなトムの夫人を誘惑しろ」と忠告しトムのタイプを喰い尽くしてしまうトムの留守の間にジョーンを訪ねたリーはジョーンに「タイプを使わないのか」とたずねるがジョーンは自分は使わないがトムの物ならアラブ製のものがあるからといい二人でそのタイプを叩いてムカデの麻薬も勧めて二人が興奮しながらタイプのキーを叩いているとタイプが内蔵のようになりそれに両手を差し入れてさらに興奮が高まると今度はタイプの後ろが女性器のような亀裂ができてそれがパクパクと動きその中から男性器のようなものがにょきーっと生えて来てタイプも興奮しだすリーとジョーンがそのままベットでまぐわりだすとタイプは人間の下半身とムカデを合わせたような生物に変わり抱き合う二人の上に飛び乗ってたかと思ったらいきなり家政婦ファデラが出て来てジョーンの不貞を叱ると化け物のようなタイプをムチで叩いて追いつめるタイプは逃げながらベランダから墜落してしまうそこに愛男をつれて通りかかったトムは壊れて残骸になったタイプを見つけて「おれのタイプを壊しやがって」といった感じで怒り部屋に駆け上がるとジョーンはファデラが勝手にタイプを投げ捨てたといいトムの愛男が植木からファデラが仕掛けた盗聴器の様な物をみつけてトムはファデラをクビにするといいリーに新しいタイプを捕って来てくれと頼むとジョーンが自分とリーが一緒にいくとトムに言う市場のような街でリーとジョーンは数人の女達とムカデの肉を切り分けているファデラを見つける女達は皆ファデラの愛人なのだと説明した後リーに自分はファデラの傍に残る旨を伝えファデラに寄り添うジョーンをリーは力無く眺めているリーは部屋で一人放心しながらムカデの粉を首に塗付けているゴキブリタイプが話しかける「君はインターゾーンからジョーンを殺すようにプログラムされたのだジョーンと君が結婚するように仕組むのは大変だったジョーンは人間ではないそもそも女は人間ではない我々とは違うジョーンは良く出来たムカデだ」みたいなことを話しているとトムが銃を打ち込みながら入って来て「俺のタイプを返せ」と言ってバラバラになった自分のタイプを見つけてリーのタイプ(ゴキブリ)を袋につめて奪ってしまうもう作家はあきらめろみたいな事をいってトムと愛男は出て行くリーが砂漠のような所でぶっ倒れているとマーティン達がやってきてリーを抱き起こすリーは持っている袋には壊れたタイプライターの残骸が入っているのだと言うがマーティンが袋の中身を見ると袋の中は注射器や薬が入っていた瓶の殻等で心配したマーティンがリーの家に行こうと誘うがリーはそれを断るマーティン達はリーの小説「裸のランチ」がもうすぐ話題作として出版されるのだから頑張って続きを書くようにと励ましの言葉をかけるリーの部屋ではリーが書いたと思われる原稿が散らばっている「書いた筈の原稿の見つからないページは組織の陰謀だ」と言うリーにマーティンはリーの書く小説と麻薬との関係についてたずねるリーはマーティン達にムカデの粉をすすめるインターゾーンの街でリーとマーティンともう一人の作家仲間が連れ添って歩く皆なかなか上機嫌な様子リーは二人に「一緒にここに残らないか」と誘うが二人は断るリーに餞別を渡して別れ際にマーティンは「裸のランチを書き上げるまで此所でねばれそして帰ってこい」と言いリーは一人背を向けて歩いていく路地で酩酊しているリーにキキが心配そうに寄り添う「もうマーティン達に逢えないような気がする」とむせび泣くリーを気遣ってキキがリーの家に行こうと誘うタイプが直ればまともになれるよ」みたいな事をいって鍛冶屋を訪ねて壊れたリーのタイプの残骸をを鋼炉のような所に入れてもらうマグワンプの顔に形を変えてリーのタイプが出てくる「あなたの新しいタイプだよ」とリーに微笑むキキマグワンプの口の中に手を入れてタイプを打つリーマグワンプはリーに「君はいい仕事をしているスパイに向いているクローケはゲイだから誘惑しろそうしたらベンウェイに近づける」というような事を話すベンウェイの名を聞いて反応するリーにマグワンプはインターゾーンのムカデの利権を取り仕切っているのはベンウェイだと言いリーにスパイになる事を命じるベットでキキと目ざめたリーはキキにクローケの事を知っているかと聞くとキキは「クローケは大きな車に乗っていて有名だ」というような話しをするクローケの車の中にリーとキキが同乗しているクローケは「リーに口説かれたかと思ったよ」といった事を言って戯けるがリーは肛門から話しをする男がいてやがて肛門が意思を持ちはじめて男を喰い潰してしまったとか良くわからない話しを延々と語りだすカメラは外のインタゾーンの夜道を写していてラクダを連れた人たちが居たり大きな荷物を持った人が歩いていたりするクローケの家でリーはまだ訳の分からない話しを続けているペットのオオムをキキが撫でているとクローケはキキを口説き出すがキキは嫌がって取り合わない大客間にはもっと色んなオオムがいるからとさらにキキを誘うクローケにリーはベンウェイについてたずねるベンウェイとファデラが親しい事をクローケから聞き出すとリーはキキに「大客間にオオムを見に行っておいで」と伝え自分はトイレに行くオオムが沢山いる部屋にリーが入ると怪物みたいに変容したクローケがキキを喰っているリーは恐れをなして部屋から逃げ出していく床ではムカデがトウモロコシを食べているリーの部屋で言葉で抵抗するマグワイプ型タイプを「こうなったら人質交換だ」と言ってバッグに詰め込むリーマグワイプ型のタイプと自分のタイプを交換するようにトムに話すリーに「タイプをもっと良く調べた方が良いのではないか」というトムの愛男の忠告を制しリーに拳銃を手渡すトム道端でリーが袋をあけると瀕死のゴキブリ型タイプが「ジョーンはファデラの所にいるスパイは必ず裏切るし反逆者も裏切るそれらと作家との違いは作家は唯一それを記録する」みたいな事を言って息絶えるリーがその場から去ると壊れたタイプに原稿が散らばるインタゾーンの路地を抜けて工場のような所にリーがたどり着くとマグワンプが何体も縛られて吊るされているそこでファデラの指示で働くジョーンファデラが去った後ジョーンに声かけてファデラと話したい旨を伝えるリーまるで阿片窟のように何人もの人がマグワンプの頭から出ている触覚のようなものを啜っているジョーンの後をついていくリーにマグワンプを吸っているハンスが助けを求めるハンスの言葉からベンウェイの名前が出てくるジョーンに案内されてファデラと対面するリーファデラは「ムカデの麻薬利権は政界と結びついたのでそれを断ち切ったこれからはマグワンプだ」というと自分の身体の皮を剥いで中からベンウェイが出てくるリーを利用するためムカデの粉を奨めたが今はマグワンプだと言ってアクネシアというに所に行って自分の為に働くように呼びかけるとリーは行っても良いが代償にジョーンがほしいと答えるベンウェイは「君とは組めそうだ」みたいな事を言って納得の表情をしている車を走らせているリーが国境の様な所で警備の男達に止められ尋問される職業を問われて作家だと答えるがタイプは無く万年筆を差し出すと「作家だという証拠をみせろ書いてみろ」とリーにいう警備の男車の後ろの席で眠っていたジョーンが目を覚ますとリーは「ウィリアムテルごっこをしよう」と言いジョーンの頭の上にコップを乗せさせてジョーンの額を撃ち抜くそれを見て「アクネシアにようこそ」とリーを歓迎的に受け入れる警備員額から血を流して倒れているジョーンを泣きながら抱きしめるリーだが納得した表情で警備の男に頷いている』


といったお話でありましたが、

はっきりいって何がなんだかさっぱり解らない映画で何とも言えない徒労感を味あわせていただきました。

何度か見直してワンシーン毎にストーリを追っていくと、幻想シーンの連続から物語のテーマみたいなものが見えて来るにはくるので納得は出来るのだが、原作は読んでいないし、これからもきっと読まないだろうけど、きっと文章だからこその幻想世界に引き込まれていくトリップ感覚のようなものがあったのではないだろうかと思います。

確かに、ゴキブリタイプの動きなどSFXを屈指したシーンは、妙なエロティズムが漲っていたり、インタゾーンの街のセットも登場人物達も、他には見た事の無い不思議な存在感を醸しだしていたりと見所はありましたが、この映画が作られた1991年では、まだ今のようにCGが進化していなかったのかはっきりは知りませんが、それがかえって、この映画を観るのは面倒だが見応えのあるものには作り上げたタイミングだったのかも知れません。

DVDの付録に、原作のバロウズと監督のグローネンバーグが色々とコメントしたりしている映像があって、それによると1959年に出版された原作は当時発禁になり、バロウズ自身
「ウィリアムテルごっこ」で実際に妻を射殺した過去があったりと、今までに私が曖昧に意識していたしていたジャンキー作家の巨匠というイメージをさらに凄まじく認識し、トリップした感覚も私自身の写真を撮る行為を想定すると非常に興味惹かれる処ではあるし、この映画の主題になっているであろう作家の苦悩やリスクには感緒深い気持にはなりますが、やっぱり今後もバロウズは読まないだろうと思います。ヘロインとかやったことないしワンカップ大関2本位でちょっとウダ巻いているくらいのトリップ感が私には等身大であるような気がいたします。

どうせグローネンバーグ作品を観るんだったら「ザフライ」とかにしておけば良かったです。それとも「裸の美奈子」とかですかね?

非常に疲れたでした。またね。 ☆

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